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2011年03月05日

【男の居場所は何処にある?】~遊牧部族の父系制転換~

イクメンの話題に始まったこのシリーズで、前回は、イクメンを評価し始めている現代の潮流が危険な方向を向いている事が解ってきました。

人類集団が「外圧に適応する」という視点に立てば、男が家庭(子育て)に収束することが進化につながるとは思えません。むしろ退化してしまうでしょう。

今回は、この人類集団がどのような形態を取って来たのか?根本に戻って見たいと思います。

母系社会、父系社会と言う言葉が有りますが、「かかあ殿下」に「頑固親父」と単純なものではありません。
ココをしっかり抑えないと、これからどうしていったら良いのかが見えてきません。

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写真は現代の母系集団?ママサークルから頂きました。

先ずは、母系社会ってなに?からです。

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母系社会ってなに?

「母系集団の形成過程」

胎生になり保育期間が長くなった哺乳類はメスの生殖負担が増大する。
すると保育期間中は集団へ依存しなくてはならず、集団への依存を強める。

一方オスはメスの生殖負担が増えたため、闘争性を高めなくてはならなくなる。すると性闘争がより激化し集団内での性闘争も激しさを増す事となる。集団内でのオス同士の闘争を回避するため、ボスであるオスは集団内の(ボスに戦いを挑んで負けた)オスを集団外へ放逐することとなる。

集団への依存度を増したメスは集団へ残留し、戦って負けたオスは集団外へ放逐されることが母系集団の形成過程と言える。

この母系集団とは利に適った集団形態と言える。

集団を分散化させ交配することで多種多様な種を誕生させることができる。
そのため生物には移籍する事が本能レベルでインプットされていることとなるのだが、この移籍させる際にメスのように闘争能力の低い生物が移籍をすると、個体で移動する際に外敵に襲われその後の繁殖が途絶えてしまう可能性がある。
しかし、闘争存在であり、闘争性が高まったオスでは個体での移動の際でも外敵との闘争を可能にし生存率が上がる。
種の存続のためには母系集団である事が最も望ましい形態と言える。

現に父系集団の形態をとっているのは哺乳類では一部のサルと人類のみであり、その他の哺乳類は概ね母系集団を保っている。

どうも、自然外圧の元では母系集団が理にかなっている(=敵応態)ことは明らかですね。
特に、生殖負担を大きくすることで進化してきた哺乳類においては、母系集団でなければ生き残れなかった。
更に進化を続けていくためには変化が必要で、これを集団の分散と交配をオスの移動に委ねる事で、外圧(=変異)を取り込んで進化してきた。
集団を構成し守り続ける事で安定を担うメスと、外圧に晒され変異を取り込んでくるオスの役割分化は、人類に至るずっと前の哺乳類において獲得した適応形態なのです。

(ますます、現代のイクメン等の中性化現象がやばそうに思えてきました。)

しかし、歴史を俯瞰すると、一般的には男社会のような気がします。
戸籍では世帯主がお父さんである事が一般的だし、遡ってみても、家父長、町長、村長、将軍、天皇も最近ちょっと話題になっていましたが基本的には男です。
更に遡って、卑弥呼の時代まで行くとやっと女が中心?でもこれも、例外かもしれません。
最近では、相当に怪しいですが、人類社会は基本的には父系社会です。
しかし、哺乳類の進化系である人類は、原初的には母系社会だった筈で、父系性へ転換した過程を検証してみましょう。

遊牧部族の父系制転換

【骨子】
●遊牧は、家畜を連れて小集団(小氏族)で独立して移動する過酷な生産様式であり、男たちの縄張り防衛力が重要視される。
●それゆえ遊牧部族は、集団の戦力を維持するために男残留を選択せざるを得ず、人類史上はじめて母系制から父系制へと転換した。
●父系制(女が移籍)に転換すると、必然的に女の不安が増大することになる。
●自集団の蓄財意識(婚姻の持参財でもある家畜の数を増やす)が強くなり、次第に私益的色彩が強くなってゆく。
★遊牧部族の父系制への転換は、私益第一の意識を芽生えさせた点で、人類史のターニングポイントとなった。

【補足】
①遊牧だと男の縄張り防衛力が重視されるわけ
・遊牧は家畜頼みの生産様式(家畜を失えば滅亡)。
・草地を求めて移動する中で、地理的リスクや気象リスクのほか、肉食動物との遭遇、他集団との接触といった危険要因は非常に多い。
・また小人数で広範囲を移動することから集団の独立性は高く、有事の際は自集団の男たちだけでなんとかしなければならない。
・したがって、移動に必要な地理の知識(どこに草や水があるか、どこが危険か等)、猛獣から家畜を守る防衛力、他部族と接触した時に縄張りを守る力が、集団存続のために重要視される。

②なぜ父系制になったのか?
・上記理由から。特に、縄張り(移動ルート)の地理に精通していることは、家畜の死活問題=集団の死活問題に直結する命綱であり、生まれ育ったころから重要な情報を身につけてきた男を移籍させるわけにはいかない。
・一般哺乳類(チンパンジー除く)も採取時代の人類も母系制が基本(オス=男が集団を出てゆくのは本能的にも自然なこと)。遊牧という生産様式ゆえの父系制への転換は、大きな出来事だった。

※遊牧部族は、小集団(氏族)の連合体のかたちをとっており、部族としてのまとまり(統合)を維持するため(各氏族がバラバラにならないため)、婚姻を通じて男か女かどちらかを移籍させる必要性があった。

③父系制になるとどうなる?
・母系集団では女たちは生まれたときからずっと一緒。女の本分である出産や子育て、また日常の生活においても、女同士の結束(共認)や安心感は強かった。
・しかし父系制では、女は一人で他集団に嫁ぐことになる。嫁ぎ先では、女たちの生まれや育ちはバラバラなので、女同士の結束(共認)は弱くなってしまう。
・また女が嫁ぐとき、出身集団から持参財(家畜=食い扶持)を送ることになっていたが、その家畜の多寡や良し悪し(乳が良く出ればいい等)で、嫁ぎ先での扱いも変わってくる。
・それらあいまって、父系制では、女たちの不安は非常に大きくなった。

④女移籍→女たちの不安が大きくなると・・・
・嫁いだ女が母親になると、「自分の娘が移籍する際は肩身の狭い思いをさせたくない」「持参財(家畜)は少しでもいいものを」という親心になるのは当然で、そのためにも、男たちにもっと家畜を増やすように、もっと縄張りを拡大するように期待してゆくことになる。
・この期待は必然的に、氏族内の蓄財意識を生み出し、しだいに自集団の私益第一の様相が強くなってゆく。

★人類史のターニングポイント
・遊牧部族の父系制への転換は、私益第一(蓄財と縄張り)の意識を芽生えさせることになった。
・そうすると、他集団との接触も増え緊張も高まってくる。そして集団間の警戒心や敵視、利害の対立からくる小競り合いや衝突といった事態も登場してくることになる。
・その後・・・ついに、私益を求めて略奪闘争(戦争)へと突入することになってしまう。

狩猟部族から遊牧部族へと転換して行く過程で、父系性へ転換してきたのです。
ただし、遊牧部族でも初期は母系性を踏襲していて、私益第一の意識の芽生えをきっかけにして父系性へ転換した。
この転換部分の歴史的な構造は興味のある方はこの投稿を参照してください。
⇒【仮説】略奪闘争前の、遊牧と農耕の集団形態

現代、私益第一の意識は消滅しつつあります。
個人的な利益や旨み、権益では到底充足は得られない。
だから、暴走する官僚などの特権も、半ば放置されています。
そんな事よりも、仲間との充足体験や、社会に広く役に立つ事での充足を求めている。
この様な現代社会に働く圧力(=期待)を対象とした時に、男はどこに向かい、女が何を担うのか?
ココを見極めていくためにも、人類が辿って来た歴史を紐解いていくのは、欠かせない作業だと思います。

ココまでの段階で、「イクメン」も、それを歓迎する潮流も、人類の進化の道のりからずれて行っている気がしてなりません。
さらに深めていきます・・・・・次回をお楽しみに!!

投稿者 gokuu : 2011年03月05日 List   

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