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2010年04月03日

新たな時代の教育制度の提案に向けて~イギリスの教育制度(現在)~

子供たちの学力低下 という問題を受け、とうとう、「ゆとり教育からの脱却」「土曜授業の解禁」など、子供たちの学力低下を発端とした、教育制度改革が発進しようとしています
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「チキタビ」さんより、お借りしました。)
確かに、子供たちと話をしていても、「こんなことも習ってないの 」って、びっくりすることも多々あるし、個人的には、土曜日授業はウエルカム :-) なのですが…。

でも、これだけでいいの

子供の教育に対する課題は、

【社会のなんでを考えることが子供達の活力を再生する】
子供達から
「数学なんか全然わかれへん。将来なんの役に立つの」
「なんのために勉強するの」

との問いかけ…

【子供たちの活力再生も当然新概念から】
「どうしたらやる気が出る?」
「やらなあかんのはわかってるけど、できへん」
「何になればいいん」
「家に帰りたくないねんけど・・」
「学校いかんでいい?」
「行きたい学校ないわ」・・・・

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等の子供たちからの生の声に、どう応えるか であり、「ゆとりからの脱却」程度の話では、とても応えられているとは思えません。

戦後日本の教育制度は、アメリカの制度をベースに組み立てられ、日本の戦後復興に対し、大きな力になったことは否定しません。しかし、次代に向けては迷走中。これは、明白だと思います。

一方で、韓国やフィンランドなど、子供たちへの教育方法が、注目を浴びている国もあります。

今回のシリーズでは、「新たな教育制度の提案」というテーマに取り組みますが、あれがいい・これがいい程度の話では、とても中身のある提案にはなりません。そこで、まずは各国の教育制度を概観し、その上で今後の日本の教育制度のあり方を、考えていきたいと思います。そしてその第一弾、「イギリスの教育制度の特徴」をまとめてみました。
(プロローグでは、「ヨーロッパの教育制度の特徴」としていましたが、イギリスだけでも盛りだくさん。今回は、イギリスに絞ってまとめます。)

まずは、「現在の教育制度」について。次回は、「教育制度の変遷→教育制度の社会的意味の考察」。2回に分けて、まとめてみたいと思います。

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各国の教育制度を見ていくにあたり、まずは教育制度の類型を押さえてみましょう。

教育制度の類型
教育制度の類型は、大きく「複線型」「分岐型」「単線型」の3類型で整理され、主に初等教育~中等教育の学校制度のあり方により、分類されます。

・複線型:主にヨーロッパ諸国で発達。
高等教育機関進学を目指す系統と、職業的教育を行う系統に、初等教育(小学校)の段階から完全に分かれている教育制度。途中で、教育系統が交差することは、ほとんど無い。

・単線型:主にアメリカで発達。
初等教育(小学校)から中等教育(中学校)まで、単一の学校系統で結ばれている形態。中等教育まで、国民共通の教育が実施される。

・分岐型:複線型と単線型の中間型。
初等教育(小学校)は共通としながら中等教育(中学校)以降複線化する形態。現在は各国とも純粋な「単線型」「複線型」は少なく、分岐型のバリエーションの違いの中に、区分されることが多い。
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(Yahoo百科事典より)

■■■現在のイギリスの教育制度の概要■■■

イギリスの教育制度は、未だ厳然として存在する階級制度と、上流階級:保守党-下層階級:労働党の力関係抜きには、整理できないようです。

また、イギリス国内においては、階級をまたがった社会的な交流はほとんど無い。仮に、日本人が仕事でイギリスに赴任したとしても、その立場は中流の中~上あたり。それ以外の階級との交流はほとんど無く、他の階級の生活実態も、ほとんどわからない。そんなお国柄。

ちなみに、イギリスについての情報は、その情報源がどの階級発なのか?を見極めないと、それが一般的なことなのか、その階級特有のことなのかさえ、見誤ってしまうので、要注意だそうです。

階級社会の概要
大きな区分:上流(貴族・財を成した財界人)-中流(ホワイトカラー)-下層(労働者)。
中流階級の中にも細かい区分があり、概ね職業と連動している。
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(こちら)「留学生活ナビ」よりお借りしました)
現在の教育制度の概要
イギリスでは、公立学校と私立学校では、教育制度が大きく違い、公立学校は「教育法(1988年制定)」に基づき運営。私立学校は、原則自由となっているようです。

公立学校
【5歳~11歳】 :プライマリースクール(小学校)
終了時に、イレブン・プラスという全国試験を受け、その結果が、次の進路に影響する。

【12歳~16歳】:セカンダリースクール(中学校)~ここまでが義務教育
セカンダリースクールは、コンプリヘンシブスクール制度(等しい中等教育)を標榜していて、その限りにおいては単線型。しかしその中に、
・アカデミッククラス:上位20%
・技術クラス    :第2グループ
・職業クラス    :最下位グループ
の3分岐制度が組み込まれ、11歳時の試験「イレブン・プラス」の成績により振り分けられる。
卒業時に「GCSC」という全国学力試験を受験。これは、中等教育一般証明書を取得するための試験であり、次の高等教育進学への切符もかねる。
そのほかに少数ではあるが、伝統的な公立進学校として、グラマースクールが存在する。イレブン・プラスの成績最上位の子供が、進学できる。

【17歳~18歳】:6th・Form(高等学校:大学教育の教養課程的な教育)
GCSCの成績優秀者が進学できる、大学進学のための教育機関。大学進学のためには、「A Level」を受験し、その結果とこの2年間の成績により、大学進学先が決まる。

※イギリスでは、地域によって若干教育制度が違うとのこと。ここでは、イングランド・ウェールズの制度を中心にまとめた。

私立学校
【5歳~11(または13)歳】 :プレップスクール(初等教育)
【11(または13)歳~18歳】:シニアスクール(中等教育)
シニアスクールは、パブリックスクールが有名で、全寮制で男女別学が一般的。お金がかかることもあり、上流~中流階級(の上位)を対象とした学校。奨学金制度もあり、下層階級にも門戸を開いているが、あくまでごく一部。
現在は、大学への進学校という位置にある。
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(-イートン校-(こちら)よりお借りしました)
以上から
①上流階級を対象とした、私立学校→大学進学
②下層階級を対象とした、公立学校→就職(一部、大学進学)

という、大きく①・②の複線型の制度が、存在する。私立学校への進学率は、7%程度。
そして、②の公立学校は見かけ上単線型であるが、中等教育が3分岐された、分岐型の制度。
これらが併存する教育制度であると、整理できる。

ちなみに、中流階級は向上心旺盛で、高学歴→階級上位の職業を目指す意識が、高いとのこと。

参考までにイギリスの大学は、1校を除き、公立。そして、奨学金制度が充実しているため、大学に入ってしまえば、それほど学費はかからない。(しかし、下層階級の人たちは、ここになかなかたどり着けないのが現実)
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(-オックスフォード大学-「4travel」よりお借りしました)
大学への進学率は、今では30%を超えているようですが、これは、1962年と1992年の2度にわたる改革により、大学と呼ぶ学校のレンジが広がり、大学数が増えたことによる数字。
ちなみに、1962年以前は、5%程度。1992年までは15%程度。真のエリートは、この5%だと思われる。
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ここまで、現在のイギリスにおける教育制度の概要を見てきました。更にちょっと歴史を紐解いてみると、私立学校は中世からの古い歴史があります。一方で、公教育は1870年「初等教育法」の制定が、その始まりとも言われています。今回は一旦これあたりで切り上げたいと思いますが、次回は、現代の教育制度に至る歴史的変遷を整理したうえで、「教育制度の社会的意味」を、整理してみたいと思います。

投稿者 hajime : 2010年04月03日 List   

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コメント

他の国の教育制度がどうなってるのかとかってこれまであんまり考えてこなかったけど、全く違うんですね☆

今でも、階級の差が明確に残っているなんてびっくりです☆

これだけ差があると、教育熱は高まるのか、それとも、身分相応であんまりがんばらないのか・・・?

読んだ印象としては、学歴信仰がとても強いのかな?っていう風に思いました。

知らないことばかりなので、一つ一つ勉強していきたいです☆よろしくお願いします♪

投稿者 たてこ : 2010年4月5日 22:53

たてこさんへ

コメントありがとう。

イギリスの格差社会というのは、日本人の感覚とは次元が違うのかも知れません。

きっと庶民から見ると、世界の違う人たち。頑張ればとか、あわよくばとか、そんなことすら考えられないのかも知れませんね。

そういう意識を、教育制度も含めてあらゆる社会制度により固定化している。

イギリスを調べてみて、そんな風に感じました。

投稿者 hajim : 2010年4月8日 19:50

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